今回の保護者会でも、説明させていただいていることに、公立高校入試問題の大変化がある。

昨年の国語の問題では120文字の長文で答える問題が出題され、関係者をあっと言わせた。それも従来の分量の問題に付加して出題されたため、多くの受験生にとっては、時間内に解答することが困難だったに違いない。今春は新聞への投書に対する生徒の会話を題材とした問題が出題された。過去に例を見ない。

社会科は、多くの資料を羅列し、その資料を読み取ることが出題された。長年社会科は記憶の蓄積を重要視する記憶科目と言われてきたが、この春の出題はそれを覆したともいえるかもしれない。

数学は資料問題が出題され、理科では分野をまたぐ融合問題やエネルギー問題・環境問題が出題されている。英語はリスニング問題で、英語の会話の多様な場面設定から出題となった。

簡単に言うとこれらの大変化は、現中学1年生が大学へ進学する際に導入される新テストを見越しての事であり、その際の学力観の変更に影響を受けて起こっている入試問題の先行変化と見て間違いない。

今春は、多くの高校が入学定員を絞ってきた。この変化にも驚きを禁じえない。この2年間は公立高校への入学者が広島市周辺の地区だけでおよそ300名ずつ少ない。それだけ私立高校へ生徒が流れたことになる。

もちろん私たちはこういう2年間の入試にも対応してきた。しかしこれまでの入試対策で対応できる領域を既に超えてきたというべきだろう。今年は例年よりも早期に入試実践対策を行うように、例年のシラバスとは別のメニューを用意して、中学3年生の入試対策に万全を期すこととした。夏休みの期間に行われる夏期講座は大切なものとなる。

今回の教育改革はおそらく戦後最大のものとなる。問われる学力は、思考力・表現力・コミュニケーション能力の3つだ。こうした変化に対応すべく、新しい対策問題作りがおこなわれている。早めの基礎作りを夏休みを中心に完了し、これらの3つの能力を問う応用問題を受験対策の後半で行う時間を確保する予定だ。現在それを実現するための各教師の教材作りの取り組みが必死に展開されている。

 

会長 河浜一也